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[COMIT] 富田弘之准教授(先端医療機器開発部門、岐阜大学大学院医学系研究科・准教授)および兵藤 文紀 教授(先端医療機器開発部門、岐阜大学大学院医学系研究科・教授)らの研究成果について
東海国立大学機構 岐阜大学大学院医学系研究科 放射線医学分野の松尾政之教授、Abdelazim Elhelaly講師、同大医学研究科腫瘍病理学分野の原明教授、富田弘之准教授(先端医療機器開発部門、創発研究者、岐阜大学大学院医学系研究科・准教授)、市橋昂樹大学院生、同大医学研究科薬理病態学分野の兵藤 文紀 教授(先端医療機器開発部門、創発研究者、岐阜大学大学院医学系研究科・教授)らの研究グループは、量子超核偏極MRI(in vivo DNP-MRI)を用い、ドキソルビシン投与心不全モデルマウスにおいて、心不全の原因の一つとされる活性酸素(ROS)に伴うレドックス状態の変化を、心機能低下や組織変化が現れる前の“超早期”の検出に成功しました。本成果は、心不全の早期発見や早期治療介入の支援に加え、ROSやミトコンドリアを標的とする新規治療法の開発への応用が期待されます。
心臓の状態を評価する検査としては、心エコーや冠動脈CTなどの画像検査、あるいは心筋細胞を顕微鏡で観察する心筋生検などがあります。しかし、これらは主に心機能や形態の変化を捉える方法であり、病態の初期段階では異常を検出しにくいという課題があります。高齢化に伴い心不全患者の増加が指摘される中、より早期に病態変化を捉える診断法の開発が求められています。
本研究では、活性酸素と反応する造影プローブを用いたin vivo DNP-MRIにより、心筋細胞の機能低下や形態変化が現れる前の段階で、心臓内のレドックス状態の変化を検出できるかを検討しました。その結果、ドキソルビシン投与30分後という極めて早い段階で、心ミトコンドリア由来の活性酸素の発生を示唆する信号変化を捉えました。一方で同時点では、ミトコンドリア機能低下や心筋細胞の明らかな形態変化は認められませんでした。これらの結果から、in vivo DNP-MRIは心機能低下や組織学的変化に先立って心臓内の活性酸素増加を可視化できる可能性が示され、心不全の“超早期徴候”を捉える新しいイメージングバイオマーカーとしての応用が期待されます。
本研究は主に、日本学術振興会科学研究費補助金「超偏極MRIを用いた薬剤の心毒性評価方法の開発」(25K19414、19H03358)、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の創発的研究支援事業(JPMJFR2168、JPMJFR220W)、文部科学省の[JST広報課1] [NT2] 光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)(JPMXS0120330644)、の支援を受けて行った研究です。
本研究成果は、Society for Redox Biology and MedicineとMedicine and the Society for Free Radical Research-Europeの共同学術雑誌「Redox biology」に掲載されました(2026年3月11日)
【研究成果のポイント】
・超偏極化MRI を活用し、心不全の早期の徴候を可視化する新規手法を開発
・心ミトコンドリアの機能低下や心筋細胞の変性が出現する前に、心不全の原因となる活性酸素を検出
・心不全の早期治療介入や新規治療薬の開発の一助として期待
詳細は、COMITのページまたは、Redox biologyのHPをご覧ください。



