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[COMIT] 檜井栄一教授(革新的モダリティ創出部門、岐阜薬科大学・岐阜大学大学院連合創薬医療情報研究科・教授)および勝野雅央教授(比較医科学研究開発部門、名古屋大学大学院医学系研究科・教授)らの研究成果について
岐阜薬科大学薬理学研究室の貞盛耕生 大学院生/SPRINGスカラシップ研究学生,檜井栄一教授(革新的モダリティ創出部門、岐阜薬科大学・岐阜大学大学院連合創薬医療情報研究科・教授),名古屋大学大学院医学系研究科神経内科学の勝野雅央教授(比較医科学研究開発部門、名古屋大学大学院医学系研究科・教授)らの研究グループは,金沢医科大学の石垣靖人教授らとの共同研究により,アミノ酸シグナルが“新生児期の協調運動の発達”に重要な役割を担っていることを発見しました。
栄養素の一つであるアミノ酸は,タンパク質合成の材料としての受動的な働きだけではなく,シグナル伝達分子として能動的に働いています。これまでに,分岐鎖アミノ酸(BCAA)濃度の異常と,自閉症や認知機能障害などの様々な神経疾患の発症との関係性が報告されています。BCAAは必須アミノ酸であり,アミノ酸トランスポーターを介した神経細胞への適切な供給が中枢神経系の恒常性維持に必須です。しかしながら,どのようなトランスポーターがどのように関与しているのかに関しては,これまで明らかになっていませんでした。
本研究では,神経細胞のアミノ酸トランスポーターl-type amino acid transporter 1(LAT1)(遺伝子名:Slc7a5)の不活化が,新生児期の脊髄運動ニューロンの変性と神経筋接合部の機能不全,およびそれらに伴う協調運動障害を引き起こすことを発見し,LAT1が運動ニューロンへのアミノ酸供給と協調運動能の形成に重要な役割を担っていることを明らかにしました。本研究成果は,神経細胞のアミノ酸トランスポーターを標的とした運動ニューロン疾患に対する新規治療・診断法の開発に貢献することが期待されます。
本研究成果は,米国学術雑誌『Cell Death & Disease』に掲載されました(オンライン版公開日:日本時間2026年3月24日)。
【研究成果のポイント】
・BCAA濃度異常と様々な神経疾患発症との関係性が報告されています。
・神経細胞のLAT1の働きを抑えると,下位運動ニューロン病様の症状が誘発されることを発見しました。
・神経細胞のLAT1の働きを抑えると,脊髄運動ニューロンの変性と神経筋接合部の発達不全が引き起こされることを見出しました。
・下位運動ニューロン病モデルマウスの運動ニューロンでは,LAT1発現とアミノ酸シグナル活性の低下が観察されました。
・LAT1を介した運動ニューロンへの適切なアミノ酸供給は,運動ニューロンの生存および協調運動の発達に重要であることが明らかになりました。
・以上の成果により,神経細胞のLAT1が運動ニューロン疾患に対する新規治療・診断標的となる可能性が期待されます。
詳細は、COMITのページまたは、Cell Death & DiseaseのHPをご覧ください。



