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[COMIT]榎本 篤教授(比較医科学研究開発部門、名古屋大学大学院医学系研究科腫瘍病理学・教授)らの研究成果について

杉名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学のMu Jingxi研究員(筆頭著者)、同大学医学部附属病院消化器内科の前田 啓子 病院講師(責任著者)、同大学大学院医学系研究科消化器内科学の川嶋 啓揮 教授、腫瘍病理学の榎本 篤 教授(責任著者、COMIT比較医科学研究開発部門)、消化器外科学の中山 吾郎 元准教授(現名古屋記念病院)は東京大学大学院医学系研究科消化器内科学の藤城 光弘 教授らの共同研究により、クローン病の腸管線維化の進行を抑制する線維芽細胞を発見しました。
 クローン病は、消化管に原因不明の炎症を起こす病気で、炎症を繰り返すことにより線維化が進行し、腸が狭くなる指定難病です。現在、腸管線維化による狭窄には有効な薬物治療はなく、狭窄が進行した場合には手術が主な治療法となっています。そのため、線維化の進行を抑え、腸管狭窄を防ぐ内科的治療の開発が求められています。線維化には線維芽細胞が重要な役割を果たしますが、その機能は十分に解明されておらず、多様性があることが注目されています。本研究では、腸管線維化の進行を抑制する内科的治療法の開発を目指し、線維芽細胞に着目した研究を行いました。
 腸管狭窄により手術を受けたクローン病患者の手術検体の解析により、腸管の狭窄部と非狭窄部では線維芽細胞の分画が異なり、狭窄部ではMeflin陽性線維芽細胞が減少することが示されました。また動物実験により、Meflinを欠損したマウスでは、WNT5A-ROR2経路を介して、腸管線維化の進行が増悪することを見出しました。さらに、既存薬である合成レチノイドAM80を用いて、Meflin陽性線維芽細胞を薬理学的に増加させることで、マウスモデルおよびクローン病患者由来の線維芽細胞において、腸管線維化の進行が抑えられることを明らかにしました。
 本研究では、クローン病の腸管線維化において、線維芽細胞の機能的多様性という視点から病態を捉えており、今後、線維芽細胞を標的とした内科的治療戦略の開発につながることが期待されます。
 本研究成果は、2026年5月19日付で『The Journal of Clinical Investigation』に掲載されました。

【研究成果のポイント】
・ クローン病患者の腸管狭窄部では、線維芽細胞の特徴が変化し、線維化(組織が硬くなること)の抑制にはたらくMeflin陽性線維芽細胞が有意に低下することを発見しました。
・ 動物モデルを用いて、MeflinがWNT5A-ROR2経路を介して、腸管線維化の進行を抑制することを明らかにしました。
・ 既存薬である合成レチノイドAM80の投与が、クローン病患者由来の線維芽細胞をMeflin陽性に変化させること、およびマウスモデルにおいて、Meflin陽性線維芽細胞を増加させることで線維化の進行を抑制する可能性を示しました。

詳細は、COMITのページまたは、The Journal of Clinical InvestigationのHPをご覧ください。